問題 vol.06
ハーブの知識
柴田忠裕先生から、園芸に関する問題を出題!
問題文が正しいと思えば「⭕」、間違っていると思えば「❌」で解答してください。
セージとサルビアは同じ仲間である。
正解です!
サルビアの仲間は900種以上あり、わが国の山野にもアキギリやタンジンなどが自生する。そのうち薬用成分が含まれるものを便宜上セージ(和名ヤクヨウサルビア)とし、夏花壇の主役であるサルビア スプレンデンスなど観賞目的で植えられるものをサルビアとしているが、明確な定義はない。
残念! 不正解です
カモミールは宿根し、毎年花を咲かせる手間いらずのハーブである。
残念! 不正解です
正解です!
カモミールは、一、二年草扱いされるジャーマンカモミールと、条件が良いと宿根するローマンカモミール、ダイヤーズカモミールが代表的である。元来ローマンカモミール、ダイヤーズカモミールは多年草であるが、湿気が多い場所で栽培すると越冬しないこともある。いずれもキク科であるが、ジャーマンカモミールはマトリカリア属、ローマンカモミールはローマカミツレ属、ダイヤーズカモミールはカミツレモドキ属に分類される。ジャーマンカモミール、ローマンカモミールはリンゴの香りを放ち、精神安定作用のあるハーブティーとして利用される。ダイヤーズカモミールからは、黄色の染料が採取されるが、3種類とも広く景観植物として植えられる。
ステビアは砂糖の代替として使われる。
正解です!
南米原産のキク科の多年草で、今では低カロリーの甘味料として世界的に使われ、わが国でも醤油や飲料等に利用される。砂糖の200倍甘いとされ、糖類の摂取が制限される糖尿病患者の甘味として、砂糖に代わって利用される。無霜地帯では露地で越冬するが、それより寒冷地では屋内で管理するか、翌春植え直す。
残念! 不正解です
わが国では、ほとんどの草本性ハーブ類が容易に栽培できる。
残念! 不正解です
正解です!
セージ、オレガノ、ミント、ラベンダーなど主要なハーブの多くは草本であり、降水量が少なく、冷涼なヨーロッパや西アジアなどの原産が多い。一方、わが国は1年を通して降雨があり、特に梅雨、秋雨の頃は降水量が激増する。しかも、日本列島は南北に3000kmほどの距離があり、北と南では気候区分も大きく異なる。したがって、わが国でハーブを栽培する場合、排水良好地や冷涼地が適地といえる。特に排水は重要で、滞水しないような場所で栽培すれば、比較的容易に栽培できる。ワンポイントアドバイスとして、明確な排水路を作るか、盛り土部分や決して滞水しない傾斜地の栽培を勧める。
木本性の代表的なハーブである、イチョウ、クロモジ、セイヨウニワトコ、ゲッケイジュ、ニッケイ、チャノキなどの生葉はハーブティーとして飲用される。
残念! 不正解です
正解です!
セイヨウニワトコは、花と果実以外は青酸配糖体が含まれるため、飲用不可である。ゲッケイジュも料理の風味付けに利用されるが、ハーブティーとしては利用しない。イチョウも血流改善効果が期待できるが、ギンコール酸など、かぶれ物質があるため、それを取り除いた市販品を飲用し、自家製の乾燥葉は避ける。クロモジやニッケイ、チャノキなどは単独葉、あるいは他のハーブと組み合わせ、ハーブティーとして飲用される。
園芸知識コラム vol.06
ロシアのウクライナ侵攻により、エネルギーおよび食料供給体制が損なわれ、世界的にひっ迫している。さらに、台風の大型化や干ばつ・洪水の多発等地球温暖化の影響も顕在化している。
われわれ植物関係者は、環境改善、食糧増産に寄与できる植物という武器を持っている。化石燃料に頼らない、地上におけるエネルギー循環の推奨や、植物が持つ環境浄化作用、景観の向上、自給食糧の増産などを広く呼び掛け、緑の大切さを世に問う機会とすべきである。