vol.02 宿根草の管理

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問題 vol.02
宿根草の管理

柴田忠裕先生から、園芸に関する問題を出題!
問題文が正しいと思えば「⭕」、間違っていると思えば「❌」で解答してください。

第1問

宿根草を植えると長期間生存し、毎年花を咲かせる。

残念! 不正解です
正解です!

宿根草は文字通り、根が宿って休眠し、翌年また芽生え花をつけるサイクルを繰り返す草本植物のことである。しかしこれは原産地における特性から判断してのもので、日本列島では、一概に宿根するとは限らない。暖地産のものは寒がり、逆に寒冷地産のものは暑がる。言い換えると、耐暑性、耐寒性、耐湿性などの諸特性は植物によって異なり、さらに植え付け場所の気象条件や土質、排水の良否、防寒対策の有無、適切な管理か否かなどによっても左右される。ガーデンセンターでは、多くの宿根草が売られているが、原産地特性も考慮して選択すべきである。また、連作障害(いや地)も生じるため、数年毎に新たな場所か元の場所を土壌改良し植え替える必要がある。

5年栽培したマウンテンミント、数十センチにしかならない。いわゆる連作障害の表れ
5年栽培したマウンテンミント、数十センチにしかならない。いわゆる連作障害の表れ
第2問

宿根草は乾燥条件の方が生存率が高い。

正解です!

宿根草が枯れ込む要因の一つが秋の長雨である。梅雨のころは植物体に勢いがあり、多雨でも耐える力があるが、秋の長雨は生育も衰え始め、活力が低下している。この時、雨が続くと、酸欠状態になり根がダメージを受けやすい。従って、植え付け場所の選定は、排水条件を考慮する。即ち、滞水するような場所は避け、傾斜地や縁石などで盛り土した部分、排水溝(明渠)に面した部分など排水が取れやすい場所を選定する。

縁石分高い位置に植えられた宿根草
縁石分高い位置に植えられた宿根草
残念! 不正解です
第3問

宿根草でも冬越し対策が必要。

正解です!

我が国で流通する宿根草は世界各国から導入されており、暖かい地域原産の植物は耐寒性が劣る。例えば、サルビア・レウカンサ(メキシカン ブッシュセージ)は、千葉県の臨海部では容易に越冬するが、内陸部の佐倉や成田では防寒対策を施さないと越冬は困難である。ただし、臨海部であっても、植えたばかりの株や小苗は耐寒性が劣るため、防寒対策は必須だ。高原や関東北部の山間地以北など、氷点下以下になる地域では露地での冬越しは避け、掘り上げた株を暖かい室内などで管理する。付属のラベルに非耐寒性とあれば、積極的な防寒対策を施す。耐寒性とあっても、植えたばかりの苗や極寒地域では注意が必要である。近隣で同じような植物が育っていることを指標とすると間違いが少ない。逆に、寒冷地産の植物は、夏越しに注意する。

寒さに弱い宿根草は、切り戻し後落ち葉や藁などを厚く敷き詰め防寒する
寒さに弱い宿根草は、切り戻し後落ち葉や藁などを厚く敷き詰め防寒する
残念! 不正解です
第4問

伸長期に切り戻すと草丈が低く抑えられる。

正解です!

高性種のヒメヒマワリやルドベキア・タカオ、サルビア・インディコスパイヤーなどは、放任すると2m近く伸び、倒伏しやすく観賞性が低下する。それを防ぐには、新芽が伸びてある程度になった段階で切り戻し、新たな芽を立ち上げる。放任すると2mになる株が2/3〜1/2程度で収まり、自立し倒伏しにくくなる。しかも、芽数が多くなり、花数が多くまとまった株になる。ただし、切り戻し時期が遅れると、種類によっては花が付かない場合がある。切り戻す場合、株元に近い節の上で切ると良い。

放任し倒伏したサルビア・インディゴスパイヤー
放任し倒伏したサルビア・インディゴスパイヤー
残念! 不正解です
第5問

宿根草は植え付け前に多量の腐葉土や堆肥、肥料を施し、肥えた土にする。

残念! 不正解です
正解です!

野菜はあらかじめ堆肥や肥料をたくさん投入し地力を高めるが、宿根草は肥培すると株が成長し、倒伏したりボリューム豊な株になり、蒸れ易く病害虫や暑さに対する抵抗力が低下する。従って、植え付けに当たっては、堆肥や施肥はごく少量とし、その後の生育状況に応じて化成肥料や液体肥料を追肥する。例えば、ヒメヒマワリ、地力が高い場所と比較し、やせた場所では草丈が半分程度になり、倒伏の危険性は減るが、葉の色つやは地力が高い方が良い。また、有機物に富む肥えた土は、コガネムシが好んで産卵し、孵化した幼虫による食害リスクが高まることも頭に入れておいて欲しい。

肥培すると草丈が高くなり、倒伏しやすくなるルドベキア・タカオ
肥培すると草丈が高くなり、倒伏しやすくなるルドベキア・タカオ

園芸知識コラム vol.02

コロナ禍で植物の売れ行きが近年になく好調とのこと、植物関係者にとって喜ばしいが、この流れを一過性で終わらせたくはない。また、動物の飼育も急増している。可愛いからとペットショップで衝動買いしたものの、実際飼ってみると排泄物や夜鳴きなどの理由から、飼い始めて1週間で飼育を放棄する人も少なくないそうである。動物の飼育にどんな姿勢で向き合うか、何が必要かがわからない状態で飼育を始め、その大変さを痛感すると飼育を放棄してしまう。植物も同じである。我々関係者は、絶えず植物の有用性や栽培の心を周りに周知していかなければ、真の発展定着は難しい。

柴田忠裕

出題者:柴田忠裕

千葉県生まれ。新潟大学農学部、同大大学院農学研究科卒業後、現千葉県農林総合研究センター花植木研究室に勤務し、コニファーの栽培技術や屋上緑化素材であるマット植物、植木盆栽類の輸出技術の開発にあたる。平成26年3月に定年退職し、現在は(公社)千葉県園芸協会種苗センターセンター長、花卉懇談会会長を務める。

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