vol.12 防草シート

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問題 vol.12
防草シート

柴田忠裕先生から、園芸に関する問題を出題!
問題文が正しいと思えば「⭕」、間違っていると思えば「❌」で解答してください。

第1問

防草シートの防草効果、素材の質や量、織り方の違いによる効果は変わらない。

残念! 不正解です
正解です!

防草シートは、織り方や素材の質・量などの違いで防草効果が異なる。まず、織り方は大きく分けて2種類、織物のように織り込んでつくられる織布と織らない不織布に二分され、それぞれ得失がある。織布は比較的安価に入手可能あるが、織り目があるため葉先が尖るようなチガヤなどは、その隙間を突き抜けやすい。不織布は織布より高価なものが多く、布の厚み(目付量)や質によって効果に幅があるが、目付量が200g/㎡以上あるものは、かなり防草効果が高い。

不織布(左)と織布(右)の防草シート
不織布(左)と織布(右)の防草シート
第2問

防草シートの素材は、ポリプロピレン製とポリエステル製に大別される。

正解です!

防草シートの素材は、ポリプロピレン製とポリエステル製に大別される。ポリプロピレンは安価であるが、目付量にもよるが耐光性は低く、張り付けてから4、5年で劣化する。一方、ポリエステルは洋服にも使われるように、柔軟性があり凹凸面もその形状に沿って被覆する。耐光性は飛びぬけて高く、筆者の経験では20年近く防草効果が持続した。

張ってから4年経過し、劣化した防草シート
張ってから4年経過し、劣化した防草シート
残念! 不正解です
第3問

さまざまな色の防草シートが流通するが、防草効果や耐光性は変わらない。

残念! 不正解です
正解です!

景観に配慮して防草シートを設置する場合、設置場所の環境によって防草シートの色が限定されることもある。そのため、自然環境に融け込む色彩のシートが必要になる。現在の主流は黒色が圧倒的に多いが、緑色や茶色なども製品化されている。耐光性を考慮すると黒色が有利であるが、周辺環境に合せるため、緑や茶色のシートも利用価値は高い。

数種の防草シート。設置場所の環境によって求められるものが変わる
数種の防草シート。設置場所の環境によって求められるものが変わる
第4問

防草困難なチガヤ、スギナ、ヤブガラシなどは、織布製防草シートで防草できる。

残念! 不正解です
正解です!

葉先が尖るチガヤ、葉身が細いスギナは、先述したように織布の織り目の微細な隙間から突き抜けることが多い。また、織布タイプのシートは微妙に光が透過するため、まる3年被覆したシート下でもヤブガラシの地下茎は生きており、シートを外すと一斉に伸び出す。目付量が多い、言い換えれば厚い不織布シートは、物理的に草の突き抜けを抑制し、光線の透過量も少ないため、数年被覆すればヤブガラシ等も防除可能である。

光の透過が多い織布製シート
光の透過が多い織布製シート
透過が少ない不織布製シート
透過が少ない不織布製シート
第5問

防草シートを固定するため打ち込むピンの周りにできるピンホール、そこから雑草が伸び出すケースが多い。

正解です!

防草シートを敷設する際、シートを固定する止ピンを打ち込むときにできる微細な穴(ピンホール)や施工時に開いてしまった穴、あるいはシートの合わせ目の隙間から雑草が発生する。防ぐには穴を塞ぐテープで被覆すると良い。

ピンホールから発芽した雑草
ピンホールから発芽した雑草
残念! 不正解です

園芸知識コラム vol.12

「今年の夏は暑い」、あいさつの枕詞的に言われる。しかし今年に限ったことではなく、毎年のように言われている。このことは、暑さが例年の気象条件になりつつあると換言できる。地球温暖化の話は幾度となく唱えられ、関心を引くまでになったが、具体的な対策は地域によって温度差が見られる。今こそ、できることから取り組み、温暖化を抑え込もうではないか。緑陰を提供し、空気を冷却する街路樹や中央分離帯に植えられた植物が乾燥で枯れ込む姿を見るにつけ、枯れたらまた同じものが植えられるのかな、と思ってしまう。植栽桝の改良、植栽樹種の変更などひと手間かけるだけで防止できる事案は多い。知恵を絞りだそう。

柴田忠裕

出題者:柴田忠裕

千葉県生まれ。新潟大学農学部、同大大学院農学研究科卒業後、現千葉県農林総合研究センター花植木研究室に勤務し、コニファーの栽培技術や屋上緑化素材であるマット植物、植木盆栽類の輸出技術の開発にあたる。平成26年3月に定年退職し、現在は(公社)千葉県園芸協会種苗センターセンター長、花卉懇談会会長を務める。

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