問題 vol.11
温暖化対策
柴田忠裕先生から、園芸に関する問題を出題!
問題文が正しいと思えば「⭕」、間違っていると思えば「❌」で解答してください。
リンゴやサクランボ等の温帯原産の落葉果樹は、熱帯でも栽培可能である。
残念! 不正解です
正解です!
温帯産の落葉果樹は、秋から休眠に入り、冬の間しっかり休み、春に開花し新梢が伸び出す。冬の間にある一定量の低温を受けると休眠が覚醒し、春に向かい温度が高まると花芽や葉芽が伸び出す。しかし、十分な低温が得られない場合、芽は伸び出さないか伸びても正常な生育はしない。従って、熱帯では休眠を覚醒させる低温が得られないため、温帯産の落葉果樹は栽培できない。
このまま温暖化が進むと、そう遠くない時代に作物の産地が変遷する。
正解です!
現在、ミカンの主産地は九州、四国、静岡、リンゴは長野、関東北部から青森、お米は新潟、東北6県とある程度は判断可能であるが、このまま温暖化が進むと、ミカンは東北地方へ、リンゴは青森、北海道へ、お米も岩手、青森から北海道へ産地が移動し、マンゴー等の熱帯・亜熱帯果樹の新たな産地が九州、四国に生まれると予測されている。
残念! 不正解です
昼温は植物栽培にとって影響が大きいが、夜温の影響は小さい。
残念! 不正解です
正解です!
例えば、水稲を例に説明すると、高温化が顕著な九州では一等米の生産比率が極端に低下している。昼温の高温化も無視できないが、実は高夜温の影響が強く出ていると思われる。植物は昼間光合成をおこない、生成した炭水化物を基に生長し果実を実らせるが、夜温が高いと昼間に生成した光合成産物を呼吸でより消費し蓄積できないため、それが生育や果実の質量低下に関わっている。美味い米の産地の一つである新潟県魚沼地方の中山間部は、昼夜温差が大きいから、高品質の米ができると言われている。
高温下でも栽培できる作物の育種が始まっている。
正解です!
高温化がこれ以上進むと、暑さに弱い植物は自分が持つ素晴らしい特性が発揮できなくなる。それを予測し、高温でも平気で生育する植物を育成したいとの目標のもと、全国的に耐暑性を備えた新たな品種の育成が始まっている。主要作物のお米はもちろん、花の世界でもシクラメンやプリムラ、バラ等多品目で挑戦が始まっている。
残念! 不正解です
例えばアルミホイル1枚を使えば、鉢物の暑さ対策が可能。
正解です!
植物が根を伸ばす地面は、太陽の強烈な光を受けると表面は暑くなるが、表面から数センチ入るとほとんど温度が上がらない。即ち、根が張る部分の温度は高温になりにくい。しかし、鉢物は根鉢の部分が地上に出ており、根は高温の影響を受ける。特に太陽光が当たる南面の温度は40℃近くなる。これでは根の生育は抑制され、ひどいと枯死に至る。これを回避する方法はいくつかあるが、例えばアルミフォイルで鉢の部分を巻くと、太陽光が反射され温まり難く、夏越しが容易になる。
残念! 不正解です
園芸知識コラム vol.11
G7等の国際会議で地球温暖化対策が話し合われ、いま食い止めないと大変なことになるという意見の一致を見たが、その対策は各国によって温度差がある。この素晴らしい地球を未来永劫に残すことが、いま生きている人類に課せられた課題である。我が国でも地球温暖化の影響が顕在化している。例えば、異常な高温、それに伴う健康被害、自然災害の甚大化、マラリアを伝搬するハマダラカの北上など新たな病害の蔓延、作物の生産地の北上、産地の熱帯・亜熱帯化、農業ばかりでなく畜産や水産にも影響が犇々と及び始めている。石油等地下資源の利用削減、緑化の推進、山林の整備、再生可能エネルギーの普及等々、まず我々ができることをやろう。意識の変革が急務である。