vol.04 挿し木

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問題 vol.04
挿し木

柴田忠裕先生から、園芸に関する問題を出題!
問題文が正しいと思えば「⭕」、間違っていると思えば「❌」で解答してください。

第1問

挿し木の発根率を高めるには、挿し穂の事前調整が最も重要である。

正解です!

所定の大きさに切り分けた挿し穂の基部は、よく切れる切り出しナイフで削りなおす。ハサミでは組織をつぶす恐れがあり、できれば避けたい。葉の量が多い場合、ハサミで1/2〜2/3切り落とす。葉量が多いと、蒸散量が増しマイナス要因となる。また、下葉は付けたまま挿して構わない。挿し床に入った下葉が挿し穂を固定し、しかも切り落とす手間が省ける。さらに、挿し穂は1時間程度水揚げした方が、発根にプラスとなる。

鋭利な切り出しナイフで基部を削る
鋭利な切り出しナイフで基部を削る
残念! 不正解です
第2問

発根促進剤を使うと、これまで挿し木で発根しなかった樹種も発根する。

残念! 不正解です
正解です!

インドール酪酸(IBA)やインドール酢酸(IAA)等が成分の発根促進剤は、発根量や発根数を増加させる効果は高いが、まったく発根しない種類を発根させる効力は小さい。根張りが良い苗をつくりたい場合、発根促進剤を上手に利用するとよい。発根促進剤は液タイプとパウダータイプがある。

粉状の発根促進剤塗布
粉状の発根促進剤塗布
第3問

挿し床に肥料分はない方が良い。

残念! 不正解です
正解です!

雑菌が多い挿し床に挿し木すると、切口から雑菌が入り腐敗したり、かびたりする。そこで、一般には有機物がない赤玉土や鹿沼土、パーライトなどが使われる。しかし、挿し床に緩効性の肥料を混入すると、挿し穂の発根量が増加する。用いる緩効性肥料は、均一に混ざるため小粒から微細のものが良い。挿し床土1ℓに対し2〜4gが適量である。

挿し木用土は清潔なもの 左から赤玉土、パーライト、鹿沼土
挿し木用土は清潔なもの 左から赤玉土、パーライト、鹿沼土
第4問

いくつかの樹種は、通常の何倍か大きい大型挿し穂も挿し木できる。

正解です!

カイヅカイブキは、前年伸びた枝を50〜60cmで切り取り、日陰下で挿しておくと、大きくても発根し短期間に苗をつくることができる。その他の針葉樹も前年枝なら大きくても挿し木可能である。しかし、大型挿し穂1本は、通常の挿し穂なら10〜20本とれるため、大量に繁殖したい場合は小分けした方が良い。また、大型挿し穂を挿し、失敗したときはロスが大きいが、小分けすれば失敗の危険率は低下する。スピードを重視するか量を確保し安全策を取るか、目的により挿し穂の大きさを取捨選択する。

通常の挿し穂と大型挿し穂
通常の挿し穂と大型挿し穂
残念! 不正解です
第5問

挿し木の温度環境は、人間と同じ頭寒足熱条件が良い。

正解です!

挿し木基部の発根適温は、種類によって若干異なるが、おおむね25℃程度とされている。従って、その温度が得にくい冬季、温床線などで発根部位を加温すると、短期間で発根する。一方、加温室などを使い全体的に高温で管理すると、休眠していた地上部が活動し始め、それに伴って蒸散量が多くなるため、発根前に地上部が乾燥するケースが見られる。従って、発根部位のみ温度をかける頭寒足熱条件が望ましい。

残念! 不正解です

園芸知識コラム vol.04

屋上、壁面や街路等が緑化された潤いのあるまちが各地にできつつある。都会生活者も緑ある生活空間の必要性を肌で感じ始めた頃、新型コロナウイルスによる感染症が猛威をふるい、家での生活時間が長くなった。その結果、自然と花や緑に対する意識が高揚し、庭に野菜を植え、花を愛でるようになってきた。われわれ緑化に携わる人間は、この機会をターニングポイントと捉え、潤い、安らぎのある生活に花や緑が不可欠で、未来永劫身の回りになくてはならない存在であることの世論形成に努めることが重要である。

柴田忠裕

出題者:柴田忠裕

千葉県生まれ。新潟大学農学部、同大大学院農学研究科卒業後、現千葉県農林総合研究センター花植木研究室に勤務し、コニファーの栽培技術や屋上緑化素材であるマット植物、植木盆栽類の輸出技術の開発にあたる。平成26年3月に定年退職し、現在は(公社)千葉県園芸協会種苗センターセンター長、花卉懇談会会長を務める。

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