問題 vol.18
挿し木④
柴田忠裕先生から、園芸に関する問題を出題!
問題文が正しいと思えば「⭕」、間違っていると思えば「❌」で解答してください。

挿し木は葉、枝、根などを土や水に挿し、不定根を出させて独立個体にする栄養繁殖法である。
正解です!
挿し木は栄養繁殖法の一つで、簡単に親と同じ個体を繁殖できる。他の栄養繁殖としては、接木、取り木、株分け、組織培養等があるが、繁殖効率、手間、コスト等を考慮すると挿し木の利点は多い。

残念! 不正解です

数節に調整した挿し穂は、挿し穂基部をハサミで切り戻し、数時間水揚げしてから挿しつける。
残念! 不正解です
正解です!
挿し穂は節の下で1~数節ごとに切断し、大きい葉は切り詰める。挿し穂基部を鋭利なナイフで切り戻し、30分から2時間水揚げし、挿しつける。ハサミでのカットは、挿し穂基部をつぶしやすく、発根を妨げる要因となりやすい。ナイフの切れ味も重要で、ある篤農家は50本切り戻したら砥ぎ直している。


挿し木の発根率を高めるためには、挿し穂の乾燥を防ぐことが最も重要である。
正解です!
特に常緑樹の挿し穂は乾燥を防止するため、葉を切り詰める。そのうえで、空中湿度を高めるため、ビニール等で覆う密閉状態か、細かい霧を噴霧するミスト下で管理することを勧める。密閉挿し、あるいはミスト挿しした苗の鉢上げは、鉢上げの2週間前から徐々に外気に慣らし(馴化)鉢上げする。

残念! 不正解です

親株と同じ形状の苗を安定して作るためには、親株の上部から出る勢いのある枝を挿す。
残念! 不正解です
正解です!
大量に挿し木する場合、親株のあらゆる場所から挿し穂を採取しがちであるが、親株の上中下段でその後の成長が明確に異なるため、そろった苗ができない。故に、株の中央部分から挿し穂を採取し、それも無制限にとらない。ある篤農家は、親株中央部分から採穂数の上限を決めて、それ以上は採穂しない。それにより、均質な苗が生産可能となる。


挿し床の温度は、25℃より35℃の方が望ましい。
残念! 不正解です
正解です!
温度が高いほど生長が活発になると思いがちであるが、高温は植物の生育の制限要因となる。今年の夏を思い出してほしい。異常とも思える高温が続き作物の出来が悪かった。挿し木時の温度も同様で、あまりに高温の環境は発根の制限要因となる。植物によって若干異なるが、最適な発根温度は25℃前後が多い。

園芸知識コラム vol.18
首都圏直撃かと心配された台風7号、最盛の状態で列島に接近してきたが、幸いにも右に逸れ、直撃を免れた。近年列島に近づく台風が勢力を落とさず来るようになり、甚大な被害が懸念される。これは列島周辺の海水温が高く、水蒸気の補給が潤沢にあるためで、ますます巨大化する傾向がある。また、今夏の平均気温は、昨年と比べ2℃程度高く、猛暑日が30日以上続く都市も見受けられる。猛暑日算定基準の気温35℃、ほぼ体温に近い温度であり、人間活動に支障をきたすばかりか、動植物の生育にも影響を及ぼす。今一度地球を取り巻く環境について各人が考え、一人ひとりが実行できる対策を講じてほしい。対策が後手に回ると取り返しのつかない状況になることを肝に銘じてほしい。